ウクライナの通貨コードは「UAH」。
「UA」はUkraine(ウクライナ)、「H」はHryvnia(フリヴニャ)の頭文字を表しています。
今回は、通貨コード「UAH」と、その背後にあるウクライナの歴史や通貨制度の背景を見ていきます。
通貨コード「UAH」の構成
「UAH」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。
- UA:国コード(Ukraine)
- H:通貨名「フリヴニャ(Hryvnia)」の頭文字
つまり、UAH = Ukraine + Hryvnia。
読み方が直感的でないぶん、語源や歴史を知るとより深く理解できます。
「Hryvnia(フリヴニャ)」とは?
「フリヴニャ(Гривня / Hryvnia)」という言葉は、
中世キエフ・ルーシ時代の銀の重量単位「グリヴナ(гривна)」に由来しています。
この「グリヴナ」は当時、貴金属や財産の基準として使われており、
現在の通貨名称もそれを継承しているのです。
「Hryvnia」は、ウクライナ独自の歴史と通貨文化を象徴する名称といえます。
なぜ「H」なのか? 読みは「G」では?
「グリヴナ(гривна)」に近い発音であるにも関わらず、
英語では「Hryvnia」と綴られるため、通貨コードは「H」で終わっています。
この綴りは、ウクライナ語の「г」がローマ字化されると“h”になるという言語的な事情によるものです(例:Kyiv → キーウ)。
つまり、「UAH」はウクライナ語音写を英語風に取り入れた結果の表記となっています。
通貨記号「₴」の意味
ウクライナ・フリヴニャの金額表示には、以下の通貨記号が使われます:
- ₴:フリヴニャ専用の通貨記号(2本線のH型)
この記号は2004年に公式に採用されたもので、ウクライナの国家的アイデンティティを表す象徴的デザインとなっています。
使用例:「₴100」=100フリヴニャ
ウクライナの通貨制度と歴史
- 1991年:ソビエト連邦から独立
- 1996年:臨時通貨「カルボヴァネツィ」から「フリヴニャ」に正式移行
- 発行機関:ウクライナ国立銀行(National Bank of Ukraine)
- 為替制度:変動相場制
なお、独立から通貨制度確立までは一時的に旧ソ連ルーブルや仮通貨が流通していました。
フリヴニャの現在
- フリヴニャ(UAH)は、ウクライナの唯一の法定通貨です。
- 2025年5月現在、1米ドル ≒ 39 UAH 前後で推移しています(※情勢により変動大)
- ロシアによる侵攻の影響もあり、経済・通貨ともに非常に不安定な局面が続いています。
まとめ:UAHに込められた独立と誇り
- UAHは「Ukraine + Hryvnia」の構成
- 「Hryvnia」は中世の重量単位「グリヴナ」に由来し、ウクライナの歴史と直結
- 「H」はウクライナ語の発音規則を反映した綴り
- 記号「₴」は国家の象徴としてデザインされた独自マーク
UAHというコードには、ソ連からの独立、通貨の主権、そしてウクライナ語の文化的自立が詰め込まれています。
関連する通貨コード
- RUB(ロシア・ルーブル)
→ ソ連時代に共通通貨だった背景を持つ - PLN(ポーランド・ズウォティ)
→ 近隣の中東欧国家で、通貨移行と安定化を果たした例 - EUR(ユーロ)
→ ウクライナが今後加盟を目指すEU圏の共通通貨
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