タイの通貨コードは「THB」。
「TH」はThailand(タイ)、「B」はBaht(バーツ)を表しています。
今回は、通貨コード「THB」と、そこに込められた文化的・歴史的背景を見ていきます。
通貨コード「THB」の構成
「THB」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。
- TH:国コード(Thailand)
- B:通貨名「バーツ(Baht)」の頭文字
つまり、THB = Thailand + Baht。
国名と通貨名の頭文字を組み合わせた標準的な構成です。
「バーツ(Baht)」の由来
「バーツ(Baht)」は、もともと重量単位として使われていた言葉です。
特に金や銀などの貴金属の単位として、現在でも「1バーツ=約15グラム(黄金)」として使われることがあります。
つまり、バーツは「重さを単位とする通貨」であり、貨幣が金属そのものであった時代の名残を今に伝える言葉です。
通貨記号「฿」の意味
タイ・バーツの表記には、次の記号が使われています:
- ฿:タイ語アルファベット「บ(b)」をベースにデザインされた通貨記号
この記号は、英語の「B」に似ていますが、タイ文化に根ざした独自の文字デザインとなっており、
タイ国内では紙幣・硬貨・価格表示などで広く使われています。
通貨コード「THB」は国際標準に基づく識別記号、
記号「฿」は文化的・視覚的に親しみやすい現地表記――
両者は目的に応じて巧みに使い分けられています。
タイの通貨制度と歴史
- 1897年:バーツが正式に貨幣単位として制度化
- 1932年:絶対王政から立憲君主制に移行する中で、通貨制度も近代化
- 発行機関:タイ銀行(Bank of Thailand)が通貨を発行
- 為替制度:かつては米ドルとのペッグ制を採用
- 1997年:アジア通貨危機を契機に、変動相場制へ移行
バーツの現在
- タイ・バーツ(THB)は、タイ国内で唯一の法定通貨です。
- 2025年5月現在、1米ドル ≒ 36 THB 前後で推移しています。
- 東南アジア諸国の中でも比較的安定した通貨として評価されており、
観光・貿易の中心通貨として国際的にも流通しています。
まとめ:THBに込められた重みと独自性
- THBは「Thailand + Baht」の構成
- 「バーツ」はもともと重量単位で、貴金属の価値を測る名残
- 記号「฿」はタイ語に由来する独自の文化的デザイン
- 通貨制度は王制とともに進化してきた近代的な枠組みを持つ
THBというコードは、貨幣の“重さ”と、文化的アイデンティティを同時に内包する通貨の象徴です。
関連する通貨コード
- MYR(マレーシア・リンギット)
→ 地理的にも近く、同様にアジア通貨危機で制度改革を経験 - IDR(インドネシア・ルピア)
→ 同じ東南アジア地域の通貨で、桁数や管理制度に違いあり - CNY(中国・人民元)
→ アジア経済圏における通貨影響力の比較対象として重要
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