2025.05.17
シンガポールの通貨コードは「SGD」。
「D」はDollar(ドル)だとすぐ分かりますが、「SG」はSingaporeの略。
この記事では、シンガポールドルのコード「SGD」に込められた意味と、通貨制度の背景を解説していきます。
通貨コード「SGD」の構成
「SGD」は、ISO 4217という国際規格に基づいて定められた3文字コードです。
構成は以下のとおり:
- 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166) → SG(Singapore)
- 3文字目:通貨名の頭文字 → D(Dollar)
つまり、SGD = SG(シンガポール)+ D(ドル)という形です。
この形式は、他のドル圏通貨とも共通しています:
- USD:United States Dollar
- CAD:Canadian Dollar
- AUD:Australian Dollar
- NZD:New Zealand Dollar
シンガポールが「ドル」を採用している理由
現在の「シンガポールドル」は、1965年のマレーシアからの分離独立後に登場しました。
それ以前、シンガポールは「マラヤ・ボルネオ・ドル」という共通通貨を使用していました。
- 1965年:シンガポール独立
- 1967年:シンガポール通貨庁(現在のMAS)設立
- 同年、自国通貨として「シンガポールドル(Singapore Dollar)」を発行開始
「ドル」という名称は、もともと英領植民地で流通していた通貨の名残であり、
米ドルの影響というよりも、マレー半島地域の通貨制度を引き継いだ結果といえます。
記号「S$」とコード「SGD」の使い分け
- 通常の価格表示では「S$」と記載されます(例:S$100)
- 為替や金融市場では、SGDというコードが正式に使われます
これは、他のドル通貨(US$、C$など)との混同を避けるための工夫です。
なぜ「SG」?「SP」ではないのか
シンガポール(Singapore)は語源的に「Singha(ライオン)」+「Pura(都市)」とされ、
英語表記でも「Singa–pore」と区切れるため、「SP」という略が自然に思えるかもしれません。
しかし、ISOの国コードは「SG(シンガポール)」です。これは:
- 他の国との重複(例:Spain)を避けるため
- 国名を識別しやすくし、国際的な混同を防ぐため
という実用的な理由によるものです。
実際、「SP」という略称は非公式ながらスペイン(Spain)を想起させることもあり、
シンガポールには「SG」が選ばれたという背景があります。
まとめ:SGDのコードに見える地域と歴史の流れ
- SGDは、SG(シンガポール)+ D(ドル)という国際標準に基づくコード
- 「ドル」の採用は、植民地時代や地域通貨の制度を引き継いだ流れ
- 「S$」という記号と「SGD」というコードは、使い分けされている
- 国コード「SG」は、他国との識別のため「SP」ではなくSGが採用された
ひと目で分かる3文字の背後には、通貨制度の独立と地域の歴史、
そして国際基準の工夫が静かに込められています。
次回:オーストラリアドルはなぜAUDなのか?|通貨コードの由来
→ ドル圏通貨の中でも、早期に十進制度を導入したAUDの成り立ちを見ていきます。
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