ルーマニアの通貨コードは「RON」。
「RO」はRomania(ルーマニア)、「N」はNew(新しい)を意味しています。
今回は、通貨コード「RON」と、その背後にあるデノミネーションの歴史と通貨制度を掘り下げていきます。
通貨コード「RON」の構成
「RON」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。
- RO:国コード(Romania)
- N:通貨名「レイ(Leu)」の「New(新しい)」を意味する略
つまり、RON = Romania + New Leu。
これは、旧通貨「ROL(Romanian Leu)」から移行したことを示す明確なサインでもあります。
なぜ「レイ」なのに「N」なのか?
かつてルーマニアでは、「ROL」という通貨コードで旧レイ(Leu)が流通していました。
しかし、1990年代のインフレを経て、2005年にデノミネーション(通貨の桁数切り下げ)が実施されます。
- 2005年7月:1新レイ(RON) = 10,000旧レイ(ROL)
この改革に伴い、ROL → RON というコード変更が行われ、
「N」は「New(新しい)」を意味する接尾辞として採用されたのです。
RONの「N」は、単なる文字ではなく、ルーマニア経済再建の象徴ともいえる記号なのです。
「レイ(Leu)」の由来
「Leu(レイ)」とは、ルーマニア語で「ライオン」を意味します。
語源は、かつて流通していたオランダの「ライオン・ダカット銀貨(leeuwendaalder)」に由来し、
周辺地域の通貨にも似た語源が残っています(例:モルドバ・レウ / BULGARIAのLevなど)。
獅子を意味する通貨名は、かつての交易と貨幣の影響関係を物語っています。
通貨記号「lei / leu」の意味
- Leu(単数形):1 RON
- Lei(複数形):複数のRON(例:10 lei)
記号としては「RON」が金額表示にそのまま使われることが多く、
ユーロ圏のような記号(€や¥)は存在しませんが、「lei」という呼称が日常的に使われます。
ルーマニアの通貨制度と歴史
- 1867年:近代通貨「レイ」導入
- 1947年以降:複数回の通貨改革を実施(政治体制の変化やインフレによる)
- 2005年:通貨デノミによりROLからRONへ移行
- 発行機関:ルーマニア国立銀行(Banca Națională a României)
- 為替制度:管理された変動相場制を採用
まとめ:RONに込められた改革の記憶
- RONは「Romania + New Leu」の構成
- 「N」は2005年のデノミによって生まれた「新レイ(New Leu)」を示す
- 「レイ」はオランダの獅子銀貨に由来する歴史ある通貨名
- 経済改革の象徴として、今もルーマニアの生活と信頼の基盤となっている
RONというコードには、通貨の過去と未来、そして国の再出発が込められているのです。
関連する通貨コード
- BGN(ブルガリア・レフ)
→ 同じく「新しい通貨(New Lev)」としてコードにNが含まれる - MDL(モルドバ・レウ)
→ 同じ「ライオン」由来の通貨名を持つ近隣国 - HUF(ハンガリー・フォリント)
→ 東欧圏の非ユーロ通貨であり、レイとの比較対象として挙げられる
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