ニュージーランドドルはなぜNZDなのか?|通貨コードの由来

2025.05.18


ニュージーランドの通貨コードは「NZD」。
「NZ」はNew Zealandの略で、3文字目の「D」はDollar(ドル)を表しています。
オーストラリアと同様に英連邦王国に属しながら、なぜニュージーランドも独自の「ドル」を採用したのでしょうか?

今回は、ニュージーランドドルのコード「NZD」に込められた構造と、
その背景にある通貨制度の歴史や国名の由来にも触れていきます。


「ニュージーランド」という国名の由来

「New Zealand(ニュージーランド)」という国名は、
オランダの地名「Zeeland(ジーランド=“海の土地”)」にちなんで名付けられました。

17世紀、オランダ人探検家アベル・タスマンがこの地を発見し、
当時のオランダの州「Zeeland」にちなんで「Nova Zeelandia(新しいジーランド)」と命名。
後に英語で「New Zealand」と翻訳されて定着しました。

日本語表記ではあまり意識されませんが、語源的には「ニュー・ジーランド」=“新・ジーランド”なのです。


通貨コード「NZD」の構造

「NZD」は、ISO 4217という国際規格で定められた通貨コードです。
構成ルールは以下のとおり:

  • 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166) → NZ(New Zealand)
  • 3文字目:通貨名の頭文字 → D(Dollar)

つまり、NZD = NZ(ニュージーランド)+ D(ドル)という構成です。

この形式は、他のドル圏通貨とも共通しています:

  • USD:United States Dollar
  • CAD:Canadian Dollar
  • AUD:Australian Dollar
  • SGD:Singapore Dollar

なぜ「ドル」を採用したのか?

かつてニュージーランドでは、イギリスと同じ「ポンド・シリング・ペンス」制度が使われていました。
しかし1967年、国内で通貨制度の十進化(デシマル化)を推進する中で、「ドル」の導入が決定されます。

  • 1ドル = 100セントという明確で扱いやすい十進制度
  • 新通貨の名称としては、「キウイ(Kiwi)」「ジール(Zeal)」「ファーン(Fern)」「クラウン(Crown)」なども候補に

最終的には、オーストラリアが1966年に導入した「オーストラリアドル(AUD)」の事例を参考に、
「ニュージーランドドル(NZD)」が正式採用されました。

「ドル」という名称は、通貨制度の刷新だけでなく、
旧宗主国からの制度的独立と国際整合性を重視した選択だったといえます。

なお、ニュージーランドは現在も英連邦王国(Commonwealth realm)に属しており、
形式上はイギリス国王を国家元首に戴く立場を保っています。
ただし、これは他の英連邦王国と同様で、通貨や制度面では各国が独立運営を行っています。


通貨記号「NZ$」とコード「NZD」の使い分け

  • 実際の価格表示では「NZ$」と表記されることが多い(例:NZ$50)
  • 他国ドル(US$、A$など)と混同しないようにするための工夫です

国際送金や為替市場では、NZDというコードが正式に使われます。

ちなみに「キウイ(Kiwi)」は、新通貨名の候補の一つでもありましたが、
採用には至らず、現在では「NZD」=「キウイドル」という愛称として広く定着しています。


まとめ:NZDに込められた通貨制度と文化の重なり

  • NZDは、NZ(ニュージーランド)+ D(ドル)という国際標準に沿った構成
  • 「ドル」の導入は、十進制度への移行と通貨制度の刷新を意味する
  • 国名にはオランダ地名「ジーランド」に由来する歴史があり、通貨制度にも外来の影響が残る
  • 記号「NZ$」とコード「NZD」は、国際的識別の工夫として併用されている
  • 為替市場では「キウイドル」という愛称も浸透している

ニュージーランドドルは、その3文字に制度・文化・国際性が凝縮された通貨です。


次回:南アフリカランドはなぜZARなのか?|通貨コードの由来

→ 通貨コードと通貨名が一致しない「ZAR」。
その由来には、オランダ語や植民地時代の影響が色濃く関係しています。

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