イスラエルの通貨コードは「ILS」。
「IL」はIsrael(イスラエル)の国コード、
最後の「S」は通貨名「Shekel(シェケル)」の頭文字です。
では「シェケル」とは何なのでしょうか?
今回は、通貨コード「ILS」と、そこに込められた歴史と制度の背景を見ていきます。
通貨コード「ILS」の構成
「ILS」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。
- IL:国コード(Israel)
- S:通貨名「Shekel(シェケル)」の頭文字
つまり、ILS = Israel + Shekel。
1985年の通貨改革により、旧シェケル(ILR)から新シェケル(ILS)へと移行しました。
シェケルの歴史と通貨改革
リラ → 旧シェケル(ILR)
- イスラエルでは、建国当初から1980年まで「リラ(Lira)」が使用されていました
- 1980年:通貨名が「シェケル(Shekel)」に変更されるが、通貨コードは旧来のILR(Israel + Lira)のまま継続
- この時、通貨の価値はそのまま継承されており、1シェケル = 1リラとして使用されていました
- レートが一緒だったのでコード自体はそのまま使われることになったわけです。
新シェケル(ILS)
- 1985年1月1日:旧シェケルから新シェケルへ、1新シェケル=1,000旧シェケルの比率で再評価
- 通貨コードも「ILR」から「ILS」へ変更され、
名称・コード・価値のすべてが一致した形で再スタートを切ることになりました
通貨記号「₪」について
イスラエル・シェケルの通貨記号「₪」は、ヘブライ語で「シェケル(שקל)」と「新しい(חדש)」の頭文字を組み合わせたものです。
- 「ש」(シン):Shekelの頭文字
- 「ח」(ヘット):Hadash(新しい)の頭文字
この記号は、1985年の新シェケル導入時に採用され、現在も使用されています。
シェケルの語源と聖書との関係
「シェケル(Shekel)」は、古代イスラエルで使用されていた重量単位および通貨単位であり、聖書にも登場します。
- ヘブライ語の「שקל(shaqal)」は「量る」という意味
- 創世記23章では、アブラハムがヘブロンのマクペラの洞窟を購入する際に「銀400シェケル」を支払ったと記されています
このように、「シェケル」という名称は、古代の伝統と宗教的な背景を持つ単位であり、イスラエルの通貨名として採用されました。
ILSの現在
新シェケル(ILS)は、イスラエルおよびパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区とガザ地区)で使用されています。
1985年の導入以降、イスラエル政府と中央銀行は慎重な財政・金融政策を維持し、インフレを抑制しています。
まとめ:ILSに込められた改革と伝統
- ILSは「Israel + Shekel」の構成
- 1980年にリラからシェケルへ通貨名が変更されたが、当初はコードが「ILR」のまま、価値も継承された状態が続いた
- 1985年の通貨改革で、名称・コード・価値すべてが切り替えられ、ILSとして再スタート
- 通貨記号「₪」は、ヘブライ語の「シェケル」と「新しい」の頭文字を組み合わせたもの
- 「シェケル」は聖書に登場する単位であり、宗教的・文化的背景も深い
ILSというコードは、イスラエルの貨幣改革の転機と、古代からの名を現代に繋げる橋渡しでもあるのです。
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