インドネシア・ルピアはなぜIDRなのか?|通貨コードの由来

2025.05.26


インドネシアの通貨コードは「IDR」。
「ID」はIndonesia(インドネシア)、「R」はRupiah(ルピア)を表しています。

今回は、通貨コード「IDR」と、そこに込められた歴史、そして「ID」が国コードに選ばれた背景を掘り下げていきます。


通貨コード「IDR」の構成

「IDR」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。

  • ID:国コード(Indonesia)
  • R:通貨名「ルピア(Rupiah)」の頭文字

つまり、IDR = Indonesia + Rupiah
国名と通貨名を組み合わせた、スタンダードな構成です。


なぜ「Indonesia」なのに「ID」なのか?

インドネシアの国コードが「ID」と聞くと、「IN」じゃないんだ?と思うかもしれません。
実はこの「ID」にも、通貨コードに込められた工夫と事情があります。

「ID」が選ばれた理由:

  • 「IN」はすでにインド(India)に割り当て済み
  • そのため、重複を避けるために「ID」が選ばれた

さらに、「ID」は英語圏でも「Indonesia」の略として比較的自然であり、
結果的にわかりやすく、重複もしない実用的なコードとなりました。


「ルピア(Rupiah)」の由来

「ルピア(Rupiah)」という名称は、サンスクリット語「रूप्य (rūpya)」に由来しています。
これは「銀」や「鋳造された金属」を意味し、インドの通貨「ルピー(Rupee)」と語源を同じくします。

つまり、インドネシア・ルピアは、インド文化圏にルーツを持つアジア的な通貨名称と言えるのです。


通貨記号「Rp」の意味

インドネシア・ルピアの表記には、次の記号が使われます:

  • RpRupiahの略称(R + p)

たとえば「Rp 10.000」は「1万ルピア」を意味し、日常生活の中で広く使用されます。

通貨コード「IDR」は国際的な取引や為替に使われ、
通貨記号「Rp」は国内での金額表示に使われる――
この使い分けが、現地経済と国際経済をつなぐ橋となっているのです。


インドネシアの通貨制度と歴史

  • 1949年:オランダからの独立を経て、「ルピア」が正式通貨として導入
  • 以前は:オランダ領東インド・ギルダーなど複数通貨が併存
  • 中央銀行:バンク・インドネシア(Bank Indonesia)が通貨の発行・管理を担当
  • 為替制度:1997年のアジア通貨危機以降、変動相場制へ移行

ルピアの現在

  • インドネシア・ルピア(IDR)は、インドネシア国内で唯一の法定通貨です。
  • 2025年5月現在、1米ドル ≒ 16,000 IDR前後 で推移しています。
  • 通貨価値の単位が大きいため、「10,000ルピア ≒ 100円未満」の感覚を持つことも多いです。

まとめ:IDRに込められた歴史と配慮

  • IDRは「Indonesia + Rupiah」の構成
  • 「ID」は、重複を避けつつ自然な略語として選ばれた国コード
  • 「ルピア」はインド文化圏の影響を受けた名称で、「ルピー」と語源を同じくする
  • 記号「Rp」は国内で広く使われており、国際的コードとの使い分けがされている

IDRというコードには、アジアの通貨文化・歴史・実用性への配慮が詰め込まれているのです。


関連する通貨コード

  • INR(インド・ルピー)
     → 語源を同じくする兄弟通貨
  • LKR(スリランカ・ルピー)
     → 同様に「rūpya」由来の通貨名を持つ
  • PKR(パキスタン・ルピー)
     → 「ルピー」の名を持つが、経済背景や制度はそれぞれ異なる

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