香港ドルはなぜHKDなのか?|通貨コードの由来

2025.05.23


香港の通貨コードは「HKD」。
「HK」はHong Kong(香港)の略で、「D」はDollar(ドル)を表しています。

今回は、通貨コード「HKD」と、そこに込められた歴史と制度の背景を見ていきます。


通貨コード「HKD」の構成

「HKD」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。

  • HK:国・地域コード(Hong Kong)
  • D:通貨名「ドル(Dollar)」の頭文字

つまり、HKD = Hong Kong + Dollar
このコードは、アメリカドル「USD(United States Dollar)」やカナダドル「CAD(Canadian Dollar)」など、他のドル建て通貨と同様の構成を持っています。


香港ドルの歴史と通貨制度

通貨の導入と変遷

  • 1863年:香港ドルが初めて発行される
  • 1935年:銀本位制を廃止し、英ポンドにペッグ
  • 1972年:米ドルにペッグ(1 USD = 5.65 HKD)
  • 1983年:リンク制(Currency Board System)を導入し、1 USD = 7.8 HKDの固定相場制を採用

「ペッグ(peg)」とは、ある通貨の価値を他の通貨に固定する仕組みです。
香港ドルの場合、1983年以降「1米ドル=7.8香港ドル」という固定レートが維持されており、
香港金融管理局(HKMA)が市場での通貨供給量を調整することで安定性を保っています。
この制度は、香港の金融安定性を支える重要な仕組みとなっています。


通貨記号「HK$」について

香港ドルの通貨記号は「HK$」で、他のドル建て通貨と区別するために「HK」を付けています。
ただし、日常的には「$」のみで表記されることもあります。


香港ドルの発行体制

香港では、政府と3つの商業銀行が通貨を発行しています。

  • 香港金融管理局(HKMA):通貨制度の監督と管理を担当
  • 発券銀行:HSBC、スタンダードチャータード銀行、中国銀行(香港)

これらの銀行は、HKMAのライセンスのもと、自社デザインの紙幣を発行しています。
なお、10香港ドル紙幣と硬貨は政府が発行しています。


HKDの現在

香港ドル(HKD)は、香港特別行政区の公式通貨であり、マカオでも非公式に使用されています。
国際的には、取引量の多い主要通貨の一つとして位置付けられています。


まとめ:HKDに込められた制度と安定性

  • HKDは「Hong Kong + Dollar」の構成
  • 米ドルとのリンク制により、通貨の安定性を維持
  • 政府と商業銀行による独自の発行体制
  • 国際的な金融センターとしての香港の地位を支える通貨

HKDというコードは、香港の制度的独自性と金融安定性を象徴する存在でもあります。


関連する通貨コード

  • USD(アメリカドル)
    → 香港ドルのリンク先であり、国際的な基軸通貨。
    ※今後記事化予定
  • MOP(マカオ・パタカ)
    → 香港ドルにペッグされているマカオの通貨。
    ※今後記事化予定
  • CNY(中国人民元)
    → 香港との経済的結びつきが強い中国本土の通貨。
    ※今後記事化予定

コメント

タイトルとURLをコピーしました