2025.05.15
イギリスの通貨コードは「GBP」。
「G」はGreat Britainとして分かる気がしますが、「P」は?
「£」の記号や「Sterling」との違いも、気になったことはないでしょうか?
今回は、イギリスポンドの通貨コード「GBP」の意味と、
“ポンド”という言葉にまつわる語源や記号の由来まで深掘りしていきます。
通貨コードはどう決められている?
GBPは、ISO 4217という国際規格で定められた通貨コードです。
この規格では、通貨ごとに3文字のアルファベットコードが割り当てられています。
基本ルールは以下の通り:
- 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166) → GB(Great Britain)
- 3文字目:通貨単位の頭文字 → P(Pound)
「UKじゃないの?」と思う方も多いかもしれません。
実は、ISOでは“識別性の高い語”を優先する方針があり、
「United」「Kingdom」といった共通語は避けられる傾向があります。
そのため、イギリスのISO国コードには「GB(Great Britain)」が正式採用されているのです。
→ よって、「GBP」は「GB(イギリス)」+「P(ポンド)」の組み合わせです。
そもそも「Sterling」って何?
「ポンド」と聞くと「Pound Sterling」という表現も目にしますが、
「Sterlingって何?」と感じる方もいるかもしれません。
- Pound:通貨の単位(日本でいう「円」や「ドル」)
- Sterling:制度名・品質基準(高純度銀貨に由来)
“Sterling”はもともと、純度92.5%の銀貨(スターリングシルバー)を意味しており、
中世のイングランドで信頼性の高い通貨として流通していたことに由来します。
今日では「Pound Sterling」は、イギリス通貨の正式名称としても使われています。
「Pound」の語源は“重さ”だった?
「ポンド(Pound)」という言葉は、元々は重量の単位から来ています。
- 語源はラテン語の「libra pondo」
→ libra = 天秤/バランス
→ pondo = 重さ(a pound by weight) - 中世ラテン語で「libra」が通貨単位にも転用され、
やがて「Pound(英語化)」という通貨名に
イギリスの「1ポンド」は、かつて1ポンド分の銀の価値に相当していたことが由来です。
記号「£」の由来は?
通貨記号「£」は、ラテン語の「libra」の頭文字「L」を装飾化したもの。
横棒または斜線が引かれているのは、貨幣記号であることを示す慣習です。
- £ → L(libra)をスタイリッシュにした文字
- 実はイギリス以外(例えばエジプトのEGP)でもポンド系通貨は£記号を使います
かつての通貨単位:shillingとpenny
イギリスでは1971年まで、ポンドは補助単位としてシリング(s)とペニー(d)を持っていました。
- £1 = 20s(シリング)
- 1s = 12d(ペンス) → £1 = 240d
- “d”はラテン語の「denarius(古代ローマ硬貨)」が由来
この旧制度は「£sd(ポンド・シリング・ペンス)」と表記され、
非常に複雑な計算体系だったため、1971年に十進法へ移行されました。
まとめ:GBPに込められた重量と信頼の歴史
- GBPは「GB(イギリス)」+「P(Pound)」の構成
- GBは、UKではなく識別性の高い“Great Britain”由来のISO国コード
- Poundの語源はラテン語「libra pondo」= 重さの単位
- £記号は「libra」の頭文字「L」由来
- Sterlingは「高純度銀貨」→ 通貨制度の信頼性を象徴
- 過去にはshillingやpennyも使われていた歴史あり
通貨コード「GBP」には、古代ローマの単位、イギリスの制度設計、 そして“信頼できる通貨”としての歴史が、ぎゅっと詰め込まれているのです。
次回:韓国ウォンはなぜKRWなのか?|通貨コードの由来
→ 「W」は分かるけれど、「K」は何の略?
円・元・ウォン、東アジアの通貨の語源比較も含めて解説します。
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