チリの通貨コードは「CLP」。
国コード「CL」に続く「P」は、通貨名「ペソ(Peso)」を表しています。
今回は、通貨コード「CLP」の背景と、チリの通貨制度にまつわる変遷を辿ってみます。
通貨コード「CLP」の構造
「CLP」は、ISO 4217で定められた3文字の通貨コードです。
- CL:国コード(Chile)
- P:通貨名の頭文字(Peso)
つまり、CLP = Chile + Peso という構成になっています。
「ペソ(Peso)」の由来とスペインドルとの関係
「Peso」はスペイン語で「重さ」を意味し、もともとは貴金属の重量に基づいた通貨単位です。
16世紀から19世紀にかけて、スペイン帝国は「8レアル銀貨(Piece of Eight)」を発行し、これが「ペソ」として広く流通。
この銀貨は英語圏では「スペインドル(Spanish dollar)」とも呼ばれ、メキシコやチリなど多くの国の通貨制度に影響を与えました。
メキシコペソやアメリカドルが同じ「$」記号を使うのも、このスペインドルに共通のルーツがあるからです。
通貨改革:CLEからCLPへ
実は、チリは1975年まで「ペソ」ではなく、「エスクード(Escudo)」という通貨を使用していました。
- 1960年:旧ペソ → エスクードへ(コード:CLE)
- 1975年:エスクード → 再びペソへ(コード:CLP)
エスクード時代の通貨コード「CLE」は、「Chile + Escudo」に由来するもので、
現在では使用されていない「消えた通貨コード」の一つです。
ペソへの回帰
メキシコは1993年に通貨改革を行い「MXP(旧ペソ)」から「MXN(新ペソ=Nuevo Peso)」へ切り替えました。
それに対して、チリのペソは「新ペソ」ではなく、かつて使っていたペソへの“回帰”という意味合いが強く、
通貨名に「Nuevo」は使われませんでした。
そのためコードも「CLN」ではなく、シンプルに「CLP(Peso)」が選ばれたのです。
通貨記号とコードの使い分け
- 記号:チリでは「$」または「CLP$」と表記されます(例:$1,000, CLP$1,000)
- コード:国際的な文脈(為替市場・送金など)では「CLP」が正式に使われます
「$」記号はスペインドル由来で、アメリカドルやメキシコペソとも共有されています。
まとめ:CLPに込められた通貨の回帰と継承
- CLP = Chile + Peso のシンプルな構成
- チリはかつて「エスクード(CLE)」を使用していたが、1975年にペソへ回帰
- メキシコの「MXN(Nuevo Peso)」とは違い、チリは「新ペソ」とは呼ばず、旧通貨名を復活
- 「$」記号はスペインドルに由来し、ドル・ペソ系通貨で広く使われている
後書き
通貨の価値が変わると大体コードも変わります。
1新ペソ=1000エスクード、1エスクードは1000旧ペソだったので、100万分の1になっているわけで、大幅に価値は変わっています。
ではなぜ、前のコードが使えたのかと言うと、間にエスクードが挟まっていたからですね。
エスクードは15年使用されたので、そこで旧ペソとは断絶されており、同じ名前で中身が変わっても混乱しない状況になっていたわけです。
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