2025.05.17
カナダの通貨コードは「CAD」。
為替や国際送金の場面でよく見かけますが、ふと「CADってどういう意味?」と感じたことはないでしょうか?
「CA」はCanadaの頭文字、「D」はDollarの頭文字として納得できそうですが、
改めてその背景を辿ってみると、通貨名の由来や通貨制度の歴史にもつながっていきます。
通貨コード「CAD」の構造
「CAD」は、ISO 4217という国際規格で定められた通貨コードです。
この規格では、基本的に3文字で構成され、次のようなルールになっています。
- 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166) → CA(Canada)
- 3文字目:通貨名の頭文字 → D(Dollar)
つまり、CAD = CA(カナダ)+ D(ドル)という、シンプルな構成です。
このような構成は、他の「ドル」通貨とも共通しています:
- USD:United States Dollar
- AUD:Australian Dollar
- NZD:New Zealand Dollar
- SGD:Singapore Dollar
カナダはなぜ“ドル”を採用している?
もともとカナダはイギリス連邦(コモンウェルス)に属しており、通貨単位もポンド・シリング・ペンスでした。
しかし19世紀半ば、北米地域で広く流通していたスペインドルやアメリカドルの影響を受けて、
1858年にカナダドル(Canadian Dollar)が正式採用されました。
当時の北米では、スペインアメリカ銀貨や米ドルがすでに“事実上の基軸通貨”として流通しており、
カナダもその流れに乗る形で「ドル」に統一した経緯があります。
記号「C$」とコード「CAD」の使い分け
- 実際の価格表示などでは、カナダドルは「C$」と表記されます。
→ これは、米ドル(US$)との混同を避けるため - 一方、通貨コード「CAD」は、国際的な金融市場・為替レート表示で使われる正式なコードです。
たとえば「C$50」と書かれていても、為替チャートでは「CAD 50」と表記されることが一般的です。
まとめ:CADという3文字に込められた背景
- CADは、「CA(カナダ)」+「D(ドル)」という国際標準に基づく構成
- カナダが「ドル」を採用したのは、スペインドルやアメリカドルの歴史的影響を受けてのもの
- 「C$」という記号も、他のドルと区別するために工夫された結果
- 通貨名にも制度にも、地域の貨幣文化と国際関係が深く絡んでいる
一見シンプルな「CAD」ですが、その背景には北米の通貨制度の変遷と、
国際的な標準化の仕組みがしっかりと組み込まれているのです。
次回:シンガポールドルはなぜSGDなのか?|通貨コードの由来
→ 同じドルでも、各国の通貨制度や記号表記には微妙な違いがあります。
次は東南アジアの金融拠点、シンガポールの通貨コードを掘り下げます。
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