ブラジルの通貨コードは「BRL」。
「BR」はBrazilの略として納得できますが、「L」はどこから来たのでしょうか?
今回は、通貨コード「BRL」に込められた意味と、ブラジルの通貨制度・言語的な背景を振り返ってみます。
通貨コード「BRL」の構造
「BRL」は、ISO 4217という国際規格で定められた通貨コードです。
構成ルールは以下のとおり:
- 最初の2文字:国コード → BR(Brazil)
- 3文字目:通貨名の要素 → L(Real)
つまり、BRL = BR(ブラジル)+ L(レアル)という構成になっています。
「レアル(Real)」という名称の由来
「Real」はポルトガル語で「王の」「王室の」という意味を持ち、
ラテン語の regalis(王に属する)に由来しています。
ブラジルでは、植民地時代から1942年までこの「レアル(複数形:réis)」が使われており、
その後のインフレと通貨改革を経て、1994年に再びレアルが復活しました。
プラノ・レアル:再導入の背景
1994年、ブラジル政府は深刻なハイパーインフレを終息させるため、
経済安定化政策「プラノ・レアル(Plano Real)」を実施。
- 通貨単位の信頼回復
- 歴史ある名称による安定感の演出
- 国民への心理的インパクト
これらを狙いとして、「レアル」が再導入されたのです。
real estateやレアル・マドリードにも通じる「Real」
「Real」は、英語の “Real estate(不動産)” にも見られる語で、
もともとは「王の財産」=価値ある土地を指していました。
また、スペインのサッカークラブ レアル・マドリード(Real Madrid) も、
国王から「Real(王室)」の称号を与えられたクラブです。
このように「Real」は、価値・信頼・王に属するものといったニュアンスを持つ、
歴史的に“格”のある言葉として、多方面で使われてきました。
なぜ「Real」の頭文字ではなく“L”が使われたのか?
通貨コードの3文字目には、通常通貨名の頭文字が使われます。
しかし「Real」の“R”ではなく末尾の“L”が採用されたのは、以下のような理由が考えられます:
- BRRだと「R」が重なって語感が悪く、読みづらい
- BRLなら「Brazil」の語感も残り、「Real」との接点も保てる
つまり、BRLという構成は「国名と通貨名を両方イメージさせる最適解」だったのです。
この構造は「EUR(ユーロ)」にも似ており、
国コードと通貨名を滑らかに接続する設計として意図されたと考えられます。
通貨記号「R$」とコード「BRL」の使い分け
- 実際の価格表示では「R$」と表記されることが多い(例:R$50)
- 国際送金や為替市場では、BRLというコードが正式に使われます。
まとめ:BRLに込められた信頼と歴史の回帰
- BRLは、BR(Brazil)+ L(Real)という構成
- 「Real」は「王室の」に由来する語で、通貨としての信頼を示す名称
- 英語やスペイン語の用例(不動産、サッカークラブ)ともつながる語源を持つ
- コードの“L”は、読みやすさと語感のバランスを意識した設計
- 記号「R$」とコード「BRL」は、国内外での使い分けを前提としたもの
後書き
日本語ではLとRの区別があまりされないので、
レアルはLから始まるのかなと思っていたのですが、実際はRから始まるのでした。
じゃあ何でLじゃないのかと思うわけですが、読みやすさも含めて検討された結果がBRLだったのです。
EURもそうですが、ルールから外れて人の感覚に沿う感じが好きです。
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