2025.05.17
オーストラリアの通貨コードは「AUD」。
「AU」はAustraliaの略、3文字目の「D」は他の多くの通貨と同様、Dollar(ドル)を表しています。
オーストラリアは英連邦王国の一員でありながら、なぜ自国通貨に「ドル」を採用したのでしょうか?
今回は、オーストラリアドルのコード「AUD」に込められた構造と、その背景にある制度改革の歴史をひもといていきます。
通貨コード「AUD」の構造
「AUD」は、ISO 4217という国際規格で定められた通貨コードです。
構成ルールは以下のとおり:
- 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166) → AU(Australia)
- 3文字目:通貨名の頭文字 → D(Dollar)
つまり、AUD = AU(オーストラリア)+ D(ドル)という構成です。
この形式は、他のドル圏通貨とも共通しています:
- USD:United States Dollar
- CAD:Canadian Dollar
- NZD:New Zealand Dollar
- SGD:Singapore Dollar
なぜ「ドル」を採用したのか?
かつてオーストラリアでは、イギリスと同じ「ポンド・シリング・ペンス」制度が使われていました。
しかし1966年、国内で通貨制度の十進化(デシマル化)を推進する中で、「ドル」の導入が決定されます。
- 1ドル = 100セントという明確で扱いやすい十進制度
- 新通貨の名称には「ロイヤル」なども候補に上がったが、最終的に「ドル」に決定
「オーストラリアドル」の誕生は、単なる呼称の変更ではなく、
旧宗主国からの制度的独立と、合理性を重視した経済改革でもありました。
なお、オーストラリアは現在も英連邦王国(Commonwealth realm)に属しており、
形式上はイギリス国王を国家元首に戴く立場を保っています。
ただし、これは他の英連邦王国と同様で、通貨や制度面では各国が独立運営を行っています。
通貨記号「A$」とコード「AUD」の使い分け
- 実際の価格表示では「A$」と表記されることが多い(例:A$50)
- 米ドル(US$)など他のドル通貨と混同しないようにするための工夫です
国際送金や為替市場では、AUDというコードが正式に使われます。
まとめ:AUDに込められた通貨制度の転換
- AUDは、AU(オーストラリア)+ D(ドル)という国際標準に沿った構成
- 「ドル」の導入は、十進制度への移行と通貨制度の刷新を意味する
- ポンドからの離脱は、英連邦王国の一員として象徴的には英国と繋がりつつも、
制度面では独立した通貨運営の意思表示でもあった - 記号「A$」とコード「AUD」は、国際的識別の工夫として併用されている
オーストラリアドルは、見慣れたドル表記の裏に、
自国の制度改革と国際通貨への歩みを秘めた存在なのです。
次回:ニュージーランドドルはなぜNZDなのか?|通貨コードの由来
→ オセアニアのもう一つの「ドル」。共通点と独自性を比較していきます。
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