アラブ首長国連邦ディルハムはなぜAEDなのか?|通貨コードの由来


アラブ首長国連邦の通貨コードは「AED」。
「AE」はUnited Arab Emirates(アラブ首長国連邦)の略で、「D」はDirham(ディルハム)を表しています。

今回は、通貨コード「AED」と、そこに込められた歴史と制度の背景を見ていきます。


通貨コード「AED」の構成

「AED」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。

  • AE:国コード(United Arab Emirates)
  • D:通貨名「ディルハム(Dirham)」の頭文字

つまり、AED = United Arab Emirates + Dirham
このコードは、国コードと通貨名の頭文字を組み合わせた、一般的な構成となっています。

「AE」は、アラブ首長国連邦の英語表記 “United Arab Emirates” に由来していますが、
通貨コードでは「United」などの一般的な語は避けられる傾向があります。
このため、より固有性のある「Arab Emirates」の部分から「AE」が採用されています。


ディルハムの歴史と通貨制度

ディルハムの語源

「ディルハム(Dirham)」の語源は、古代ギリシャの「ドラフメー(drachma)」にさかのぼります。
ドラフメーは紀元前6世紀ごろから使われていた銀貨で、その後ローマ帝国を経てイスラム圏にも伝わりました。

アラビア語ではこれを「درهم(dirham)」と音訳し、
ウマイヤ朝・アッバース朝を通じて貨幣単位として定着。
現在でも、UAEのほかモロッコ(MAD)など複数の国が通貨名として「ディルハム」を使用しています。

「ディルハム」は古代から現代へと連なる“銀貨”の系譜を象徴する名称なのです。

近代のディルハム

  • 1973年:アラブ首長国連邦がディルハムを導入。
    → それまで使用されていたカタール・リヤルやバーレーン・ディナールを置き換える。
  • 1997年:ディルハムは米ドルに固定される制度へ移行。
    → 1米ドル = 3.6725ディルハムの固定為替レートが採用され、現在も維持されています。

通貨記号「د.إ」について

ディルハムの通貨記号は「د.إ」で、アラビア語で「ディルハム・エミラーティ(UAEのディルハム)」を意味します。
また、英語表記では「AED」や「Dhs(Dirhams)」が使用されることもあります。


ディルハムの現在

  • ディルハムは、アラブ首長国連邦国内で唯一の法定通貨として使用されています。
  • サウジアラビアと同様、石油輸出国としての地位を背景に、通貨の安定性が重視されています。
    → 米ドルとの固定為替レートは、金融政策の中核となっています。

まとめ:AEDに込められた歴史と安定性

  • AEDは「Arab Emirates + Dirham」の構成(UAE由来)
  • ディルハムは、古代ギリシャの銀貨「ドラフメー」に由来する歴史的な名称
  • 米ドルに固定された為替制度により、安定した経済運用を支える存在
  • 中東地域においても、古今をつなぐ通貨としての役割を担っている

AEDというコードは、アラブ首長国連邦の歴史、文化、そして通貨の安定性を象徴する存在です。


関連する通貨コード

  • SAR(サウジアラビア・リヤル)
    → 同じく中東地域で使用されている通貨。
    ※今後記事化予定
  • QAR(カタール・リヤル)
    → リヤルを通貨単位とする他国の通貨。
    ※今後記事化予定
  • MAD(モロッコ・ディルハム)
    → ディルハム系の名称を持つ他地域の通貨。
    ※今後記事化予定

コメント

タイトルとURLをコピーしました