「blue」の語源と意味の広がり|色から感情、音楽、悪魔まで

英語の「blue」。
ただの「青」ではなく、そこには悲しみ、音楽、そして“青い悪魔”まで、多くの意味と背景が詰まっています。

本記事では、「blue」という単語の語源から、「なぜ憂うつな感情を表すようになったのか?」「ブルース音楽の名前の由来」まで、掘り下げて解説します。


「blue」の語源はどこから来た?

現代英語の「blue」は、以下のような語源の流れをたどってきました:

古ゲルマン語「blæwaz」(暗い青)

 ↓

中世ラテン語「blāvus」(青みがかった灰色)

 ↓

古フランス語「bleu」

 ↓

中英語「bleu」

 ↓

現代英語「blue」

この言葉はゲルマン語派の言語でよく似た形で残っています:

言語「青」
英語blue
フランス語bleu
ドイツ語blau
オランダ語blauw
スウェーデン語blå

なぜ「blue」が「悲しい」を意味するようになったのか?

「blue」には「憂うつ」「落ち込む」といった意味もあります。
たとえば:

I’m feeling blue.(なんだか気が滅入っている)

これは元々、18世紀の英語表現 “to have the blue devils”(青い悪魔に取り憑かれる) から派生しました。


「blue devils(青い悪魔)」とは?

「blue devils」は、憂うつな気分幻覚・不安・不眠などの精神的不調を象徴する表現です。
特に、アルコール依存症者が経験する「振戦せん妄(delirium tremens)」のような症状を指していました。

🔍 出典・使用例:

  • 1798年:ジョージ・コールマンによる一幕劇『Blue Devils』で表題に使用。
  • 18〜19世紀:手記・詩・新聞などで「blue devils」が「気分の落ち込み」や「悪夢」の意味で頻出。

なぜ「青」なのか?
→ 青は西洋文化において「冷たさ」や「沈静」、「死」や「悲しみ」の象徴色だったため。

なぜ「悪魔」なのか?
→ 心をむしばむような目に見えない苦しみが「悪魔」に喩えられた。


音楽ジャンル「the blues」の由来

19世紀末〜20世紀初頭、アメリカ南部でアフリカ系アメリカ人によって発展した音楽スタイルが「ブルース(the blues)」と呼ばれるようになりました。

「ブルース音楽」の特徴:

  • 憂うつ、喪失、孤独、貧困など、深い個人感情の表現
  • コール&レスポンス形式、12小節構成などの独自の音楽的構造
  • 元々は労働歌、霊歌(spiritual)、フィールド・ハラーなどがルーツ

🧩 なぜ「the blues」と呼ばれた?

  • 「I have the blues」=「気が滅入っている」という口語表現が元。
  • 「blue devils」から派生した「the blues」が、悲しみをテーマにした音楽ジャンル名として定着。
  • 1900年代初頭に「I Got the Blues」「Dallas Blues」などの曲名で正式に登場。

なぜ複数形なの?

「blues」は「いくつもの憂うつな気分のかたまり」という感覚。
英語では、重い感情がいくつも重なるようなニュアンスで複数形が使われることがあります。


その他の「blue」の多様な用法

用法意味補足
blue (基本)空や海の色など
feel blue憂うつ、落ち込んでいる比喩表現
the bluesブルース音楽感情豊かな音楽ジャンル
blue devils精神的不調、幻覚18世紀の口語表現
blue humor下ネタ系のジョーク「青いジョーク」
blue movieアダルトビデオ俗語
blue-collar肉体労働系の仕事作業服が青かったことに由来

まとめ

視点内容
語源ゲルマン語の「blæwaz」→ フランス語「bleu」経由で英語へ
感情的意味「blue devils」→「the blues」→「feel blue」へと広がった
音楽ブルース音楽は「the blues」という感情表現がジャンル名になった
象徴青=冷たさ、悲しみ、沈静、憂うつを象徴する文化的背景

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🌐 英単語の語源を知ると、言葉の奥にある文化と歴史が見えてくる。

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