2025.05.22
ロシアの通貨コードは「RUB」。
「RU」はRussia(ロシア)の国コードとして納得できますが、
最後の「B」は何を意味しているのでしょうか?
実はこの「B」は、通貨名「Ruble(ルーブル)」の綴りに由来しています。
そしてこのコードは、そのまま“Ruble”と読めるという意味でも非常に直感的です。
今回は、通貨コード「RUB」と、そこに込められた歴史と制度の背景を見ていきます。
通貨コード「RUB」の構成
「RUB」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。
- RU:国コード(Russia)
- B:通貨名「Ruble(ルーブル)」の綴りの3文字目
つまり、RUB = Russia + Ruble。
1998年の通貨改革により、旧ロシアルーブル(RUR)から新ロシアルーブル(RUB)へと移行しました。
「RUB」は綴りのままRubleと読むことができ、
コードと通貨名が視覚的にも一致する、直感的にわかりやすい例のひとつです。
ルーブルの歴史と通貨改革
ソビエト連邦ルーブル(SUR)
- 1922年:ソビエト連邦の成立とともに導入
- 通貨コード「SUR」は、Soviet Union Ruble の略。
「SU」は、ソビエト連邦を意味する Soviet Union に由来し、ISO 3166-1で一時的に使用されていた国コードです - 1991年:ソビエト連邦の崩壊により、各国が独自通貨を導入
ロシア連邦ルーブル(RUR)
- 1992年:ロシア連邦が独自通貨として導入
- 通貨コードは「RUR(Russia + Ruble)」
- 高インフレにより、1992年から1998年にかけて大幅な価値下落を経験
新ロシアルーブル(RUB)
- 1998年1月1日:旧ルーブルから新ルーブルへ、1新ルーブル=1,000旧ルーブルの比率で再評価
- 通貨コードも「RUR」から「RUB」へ変更され、
名称・コード・価値のすべてが一致した形で再スタートを切ることになりました
通貨記号「₽」について
ロシアルーブルの通貨記号「₽」は、2013年にロシア中央銀行によって正式に採用されました。
- 「Р」(キリル文字の「R」)に横線を加えたデザイン
- 横線は安定性と信頼性を象徴
- デザインは国民投票によって選ばれ、ロシアのアイデンティティを強調するものとなっています
ルーブルの語源と歴史的背景
「ルーブル(Ruble)」という名称は、13世紀のロシアにおいて、銀の延べ棒を切り分けて使用していたことに由来します。
- ロシア語の「рубить(rubit)」は「切る」という意味
- 銀の延べ棒を切り分けた単位が「ルーブル」と呼ばれるようになりました
- 1704年、ピョートル大帝によってヨーロッパ初の十進法通貨として正式に導入されました
RUBの現在
新ロシアルーブル(RUB)は、ロシア連邦で使用されています。
1998年の導入以降、ロシア政府と中央銀行は慎重な財政・金融政策を維持し、インフレを抑制しています。
まとめ:RUBに込められた改革と伝統
- RUBは「Russia + Ruble」の構成
- 1998年の通貨改革で旧ルーブル(RUR)から新ルーブル(RUB)へ移行
- 通貨記号「₽」は、ロシアのアイデンティティと安定性を象徴
- 「ルーブル」という名称は、13世紀の銀の延べ棒を切り分けた単位に由来し、長い歴史を持つ
- コード「RUB」は通貨名と視覚的にも一致し、直感的に理解しやすい
RUBというコードは、ロシアの貨幣改革の転機と、古代からの名を現代に繋げる橋渡しでもあるのです。
関連する通貨コード
BYN(ベラルーシ・ルーブル)
→ 現在も使われているルーブル名の通貨。旧ソ連圏に多く存在。
RUR(旧ロシアルーブル)
→ 1992〜1997年に使用された旧コード。高インフレ時代の名残。
SUR(ソビエト連邦ルーブル)
→ Soviet Union Ruble の略称。1991年まで使われていた通貨。
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