2025.05.21
トルコの通貨コードは「TRY」。
「TR」はTurkey(トルコ)だとわかりますが、
最後の「Y」は…何でしょうか?
他の通貨コードでは見かけない構成に見えますが、そこには通貨改革の歴史が隠されています。
今回は、通貨コード「TRY」に込められた背景と、記号「₺」にまつわる話を紹介します。
通貨コード「TRY」の構成
「TRY」は、ISO 4217で定められた通貨コードです。
- TR:国コード(Turkey)
- Y:通貨名「Yeni Türk Lirası(新トルコリラ)」の「Yeni」の頭文字
つまり、TRY = Turkey + Yeni。
「Yeni(イェニ)」はトルコ語で「新しい」という意味。
2005年、トルコでは大規模な通貨改革が行われ、旧通貨「TRL(トルコリラ)」に代わって
「Yeni Türk Lirası(新トルコリラ)」が導入されました。
この時、通貨コードも「TRY」へ変更され、現在に至るまで使用されています。
トルコリラの歴史と通貨改革
旧トルコリラ(TRL)
- 1923年:トルコ共和国の建国とともに導入(オスマンリラに代わる)
- 長年のインフレにより、2001年には1米ドル=約1,650,000リラにまで下落
新トルコリラ(TRY)
- 2005年1月1日:6桁のゼロを削除し、1新リラ=1,000,000旧リラの比率で再評価
- 通貨名は「Yeni Türk Lirası(新トルコリラ)」に
- 通貨コードも「TRL」→「TRY」に変更
- 2009年:通貨名から「Yeni(新しい)」が正式に外され、再び「Türk Lirası(トルコリラ)」に
それでもコード「TRY」はそのまま使われ続けており、通貨改革の記憶をとどめる存在とも言えます。
通貨記号「₺」について
トルコリラの記号「₺」は、2012年に公募で決定されました。
- 主催:トルコ中央銀行(CBRT)
- 応募総数:8,000件以上
- 採用されたのは、アンカラ出身のグラフィックデザイナー、
Tülay Lale(トゥライ・ラレ)氏によるデザイン
デザインの意味:
- 「L」のような形状は「Lira」の頭文字
- 傾斜(右上20度):上昇志向を象徴
- 二重線(Tのクロスバー):信頼性と安定性を意味
安定と成長への願いが込められた記号として現在に至るまで使用されています。
TRYの現在
トルコリラは、トルコ共和国および北キプロス・トルコ共和国で使用されています。
通貨としてはインフレや為替変動の影響を受け続けていますが、
通貨コード「TRY」は、2005年の改革以降ずっと変わらず使われています。
まとめ:TRYに残る“新しい”の記憶
- TRYは「Turkey + Yeni(新しい)」の構成
- 2005年に旧リラから新リラへ切り替わった通貨改革の証
- 2009年以降も「Y」は残り続け、コードが変わることはなかった
- 通貨記号「₺」は、Tülay Lale氏による公募デザインで、上昇と信頼性を象徴
TRYというコードは、単なる略号ではなく、かつての改革の記憶を背負い続けている存在です。
次回予告:イスラエル・シェケルはなぜILSなのか?|通貨コードの由来
→ 聖書にも登場する通貨「シェケル(Shekel)」とそのコード「ILS」の背景を掘り下げていきます。
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