アメリカの通貨コード「USD」。為替ニュースなどで日常的に目にするこの3文字ですが、
改めて考えると、「ドル(Dollar)」って一体何なんでしょうか?
今回は、アメリカドルの通貨コード「USD」に込められた由来とともに、
“ドル”という名前の語源とその背景について解説していきます。
通貨コードはどう決められている?
USDは、ISO 4217という国際規格によって定められた通貨コードです。
この規格では、世界中の通貨に3文字のアルファベットコードが割り当てられています。
ルールはシンプルで:
- 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166) → US(United States)
- 3文字目:通貨名の頭文字 → D(Dollar)
つまり、USDは「US(アメリカ)」+「D(Dollar)」という構成です。
「Dollar」の語源と綴りの由来
“Dollar”という言葉は、実はアメリカで生まれたものではありません。
語源をたどると、16世紀のヨーロッパにまでさかのぼります。
「ターラー」から「ダラー」へ
- 語源は、現在のチェコ・ヨアヒムスタールで発行された銀貨「ヨアヒムスターラー(Joachimsthaler)」
- それが短縮されて「ターラー(Thaler)」となり、ドイツ語圏を中心に流通
- 英語ではこれが「Dollar」と表記され、音も形も変化
- アメリカは独立後、この単位を採用し、「ドル」として定着
つまり、ドルはヨーロッパの銀貨にルーツを持つ単位名だったのです。
なぜ複数の国が「ドル」を使っているのか?
現在、「ドル」を通貨単位として採用している国は、アメリカだけではありません。
- オーストラリア(AUD)
- カナダ(CAD)
- シンガポール(SGD)
- ニュージーランド(NZD)など…
これらの国々は、イギリスの旧植民地であった歴史的背景を持ちます。
独立・通貨改革の際、アメリカドルの信頼性や10進法のわかりやすさを参考に、共通の単位「ドル(Dollar)」を採用したと考えられています。
さらに、「ドル」という名称はすでに国際的にも浸透していたため、自国通貨の信頼性を高める効果もありました。
実は「ドル」には先祖がいた?
アメリカが「ドル」という単位を採用する前、スペイン銀貨(スペイン・ドル)が北米全域で流通していました。
この銀貨は「1ドル=8レアル」とされ、“ピース・オブ・エイト(piece of eight)”とも呼ばれた世界通貨のひとつ。
アメリカは独立後、この流通実態と単位感覚を引き継ぐ形で、自国通貨にも“ドル”を採用したといわれています。
このスペインドルについては、別の記事で詳しく紹介予定です。
まとめ:USDに込められた歴史と単位の重み
- USDは「US(アメリカ)」+「D(Dollar)」という構成
- “ドル”の語源はヨーロッパの銀貨「ターラー(Thaler)」
- 北米ではスペインドル(ピース・オブ・エイト)も通用していた
- 現在のドル通貨は、歴史・影響力・実用性を引き継いだグローバルな単位
世界の基軸通貨とされるUSDにも、ヨーロッパやラテンアメリカの通貨史が深く息づいています。
次回:ユーロはなぜEUR?|通貨コードの由来
→ 単位名としては新しいのに、なぜこのコードが世界に広まった?
統一通貨「ユーロ」に込められた、名前の由来とそのコードの意味を解説します。
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