日本円の通貨コードは「JPY」。為替のニュースなどで見かけますが、ふと気になったことはないでしょうか。
“JP”はJapanの略だとして、“Y”とは?円(えん)がなぜ”Y”になるのでしょうか。
今回は、日本円の通貨コードが「JPY」になった理由を、国際ルールや語源の観点から解説していきます。
通貨コードはどう決められている?
日本円の「JPY」は、ISO 4217という国際規格によって定められた通貨コードです。
この規格では、世界中の通貨に3文字のアルファベットコードが割り当てられています。
ルールはシンプルで:
- 最初の2文字:ISO国コード(ISO 3166)→ JP(Japan)
- 3文字目:通貨名の頭文字 → Y(Yen)
つまり、JPYは 「JP(日本)」+「Y(Yen)」 という構成になっています。
「Yen」の語源と綴りの由来
歴史的に「え」は“ye”に近い発音だった?
日本語の「円(えん)」が、なぜ「Yen」と表記されるのか?
その理由の一つに、かつて“え”の音が「ye」に近かったことが挙げられます。
たとえば「Yebisu(恵比寿)」というビールのブランド名。
これは古語で「ゑ(ye)」と表記されていた時代の名残です。
明治初期のローマ字表記でも、「え」を“ye”と書くことがありました。
このことから、日本語の「えん」が、外国人の耳には“yen”に聞こえたと考えられています。
英語としても“yen”の方が自然だった
加えて、英語話者にとっても「yen」は発音しやすい形でした。
英語では、語頭が母音(en)のみだと発音が曖昧になるため、
子音Yをつけた方が語感として安定するのです。
- ear(イア) vs year(イア+Y音)
- en → 短く曖昧 / yen → 発音しやすく明瞭
このように、“yen”という表記は当時の発音習慣と英語的な語感の両方に適した形だったといえます。
まとめ:JPYに込められた歴史と言語の背景
- JPYは国コードJPと通貨名Yenの組み合わせ
- “Yen”という綴りは、明治期の音の聞こえ方+英語としての語感から自然に生まれた
- 古語における「ゑ(ye)」の存在や、「Yebisu」に残る表記もその証拠
- 英語話者にとっても、「yen」は発音・表記ともに安定する形だった
たった3文字の通貨コードですが、そこには歴史的な背景が隠されていたりします。
この調子で他の通貨にも触れていきたいと思います。
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