前置き
「パン」と「会社」。
美味しいものと、人によってイメージに大きく差がありそうなもの。
一見、何の関係もなさそうなこの2つの言葉ですが、英語では驚くほど深いところでつながっています。
今回は、英単語companyの語源をたどりながら、組織や仲間に込められた意外な意味を見ていきます。
それぞれの単語の意味
会社(company)といえば、事業を営む法人組織。
パン(panis)といえば、日常的に食べる、もっとも基本的な食べ物のひとつ。
どう見ても接点がなさそうなこの2つですが、company の語源には、実は「パン」が深く関わっています。
語源をたどる
英単語companyは、
- com-(共に)
- panis(パン)(ラテン語)
という語根から生まれました。
つまり、company とはもともと「パンを共に食べる仲間たち」を指していたのです。
食卓を囲むことで生まれる信頼関係や一体感。
そうしたつながりをもとに、仲間や集団を意味する言葉へと変化し、現在の「会社」や「企業」といった概念につながっていったのです。
同じ語源の単語
同じ語源から生まれた単語に、companion(仲間)もあります。
companion = com(共に)+ panis(パン)+ion(名詞化)
こちらも同じく、「パンを共にする人」という意味から、心を許せる友人、信頼できる人という意味に派生しました。
ここまでは温かみのある言葉のつながりですが、近代になると少し違ったニュアンスの単語も生まれました。
それが、
- employee(雇われる人)
- employer(雇う人)
です。
employeeはem-(中に)+ ploy(使う)からきていて、「中に取り込まれて使われる人」というニュアンスを持っています。
組織に属するものという意味は変わらずとも、言葉が描く関係性はこれほど変わってきたのです。
まとめ
パンを一緒に食べるという、何気ない日常の行為。
それが「会社」や「仲間」という言葉のルーツだと思うと、言葉に込められた人間らしさや温かさを感じられる気がします。
時代とともに関係性は変わりましたが、「同じ釜の飯を食う」ような上下関係を超えた同じ方向を見られる関係は、これからも大切にしたいものです。
言葉のルーツをたどると、社会の変化や人と人との関係のあり方が、自然に浮かび上がってきます。
これからも、そんな言葉に秘められた物語を少しずつ紹介していきたいと思います。
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